Microsoft Graph APIアカウントでの制限について(Ver7.33対応版)
Microsoft Graph APIのアカウントでは、他のPOP、IMAPのアカウントに比べていくつか制限があります。
■ 送信するメールについての制限
- 相手に届くメールのFrom:ヘッダの名前部分は、Exchange Onlineのサーバー上に保存されてるユーザープロファイルで決定された内容になります。
- From:ヘッダの中のメールアドレスはご自身のExchange Onlineアカウントのメールアドレスか、または「代理人として送信するアクセス許可」をしているメールアドレスのみが指定できます。他のメールアドレスを指定すると送信時にエラーになります。
- 「To: / Cc: / Bcc: / Reply-To: / X-Mailer:」以外のヘッダについては、メールの中で何か任意の文字列を指定しても、送信されるメールには一切反映されません。例えば「Organization:」ヘッダも無視されます。
- In-Reply-To:ヘッダおよびReferneces:ヘッダの内容も一切無視されます。「返信メール」コマンドで作成したメールについては、その返信元メールから自動生成されるIn-Reply-To: / References:ヘッダが生成される形になりますが、そのヘッダの生成はExchange Onlineのサーバー上で実行されます。
- 「返信メール」コマンドでメールを作成した後に返信元メールをサーバー上から削除すると、その「返信メール」で作成したメールの送信が出来なくなります。その場合、新規メール扱いでそのメールが送信され、結果としてIn-Reply-To:/References:ヘッダが無くなってしまい、メールクライアント上でのスレッド表示した時にスレッドが切れてしまいます。
- 大きなサイズのメールを分割して送信することとは一切できません。「アカウント毎の設定 - 上級者向け - その他」にある「大きなメールは分割して送信する」は効かず、「設定 - 送信用の特別設定」で分割サイズを指定しても分割されずに送信されます。
- 「アカウント毎の設定 - 上級者向け - Bcc宛先」の「Bcc:の宛先には添付ファイルを送らない」および「Bcc:の宛先のメール本文の先頭に文面を挿入する」も効きません。
- To:ヘッダの宛先にメールアドレスのみを記載すると、実際に相手に届くメールにはメールアドレスそのものが名前として表示されます。例えば「To: hoge@hogehoge.com」のように書いたメールは、実際に相手には「To: "hoge@hogehoge.com" 」のように届きます。
- メールの文字コードに何を指定しても、実際に相手に届くメールはutf-8文字コード固定になります。
- 相手に届くメールのDate:ヘッダの内容はExchange Online側で割り振られた内容になります。また、Date:ヘッダのタイムゾーンも「+0900」(日本標準時刻)にはならず、「+0000」のUTC(協定世界時)扱いになります。
- メールの発信元のIPアドレスがMicrosoftのExchange OnlineのサービスのIPアドレスになります。発信元の国識別もアメリカ合衆国扱いになります。
- 「そのまま転送」は出来ません。そのまま転送したい場合は「添付ファイルとして転送」をお勧めします。
- 送信できる添付ファイルのサイズは、1つのファイルにつき150メガバイトまでです。(Version 6.95以下では3メガバイトまでの制限がありましたが、Version 6.96から150メガバイトになりました。)
- 開封通知を要求することが出来ません。
- S/MIME形式の暗号化または電子署名したメールについてはVersion 7.13β7からうまくやりとり(送信も受信も)できるように対応しましたが、PGPまたはGnuPGによる暗号化および電子署名メールはうまくやりとりが出来ないことが多いです。例えば暗号化したメールをGraph APIから送信しても「AT0000」のような変な添付ファイル付きメールとして届いてしまったり、Graph APIアカウントに届く電子署名されたメールがうまく検証できない(改ざんされてる扱いになる)ことが多いです。
■ 受信についての制限
- 「アカウント毎の設定 - 上級者向け - その他」の「大きなメールはダウンロードしない」をONにしても無視されます。サイズの大きなメールでも受信されます。
- 「アカウント毎の設定 - 上級者向け - 容量チェック」のオプションも無視されます。容量チェックは出来ません。
- Microsoft Graph APIは本来IMAP的に複数フォルダを作成したりメールを同期したりといったことが出来る仕組みの物ですが、秀丸メールでは、今のところはPOP的にメールを送受信するだけです。受信する対象フォルダは、「アカウント毎の設定・メールサーバー・POP/IMAP・IMAP関連」のページにし指定できます。
- 開封通知の要求があっても無視されてしまいます。(Disposition-Notification-To:ヘッダが削除されて届きます)
■ 接続先のサーバー/ポート/APIについて
- メールのやりとりには、Microsoft Graph APIを使います。認証には先進認証(OAuth2.0方式の認証)を使います。(Exchange Web Serviceは使いません)
- 先進認証で接続するサーバーは「login.microsoftonline.com」、メールやりとり時の接続先は「graph.microsoft.com」で、接続するポートは「https:」用の443番固定です。接続先のカスタマイズは出来ません。Exchange Onlineじゃない、他のExchange Server(Exchange Server 2016などの製品の動作してるコンピューター)へ接続させることも出来ません。(そもそも、Microsoft Graph APIは今のところExchange Online専用で、一般のExchange Serverでは使えません)
- https接続時のプロキシ・サーバーは、Windowsの設定に従います。秀丸メール側にはプロキシ・サーバーについての個別の設定はありません。
■ 送信済みメール/削除の動作について
- 秀丸メール上で送信したメールは、秀丸メール上の「送信済み」フォルダに保存されるだけじゃなくて、Exchange Online上の「送信済みアイテム」フォルダにも保存されます。
- アカウント毎設定で「受信したメールをサーバー上に残す」がOFFの場合などの理由で秀丸メールがサーバー上のメールを削除する時は、削除ではなくて、Exchange Online上の「削除済みアイテム」フォルダへの移動が実行されます。