アカウント毎の設定・メールサーバー・POP3/IMAP4(Ver7.22対応版)
受信メールサーバーの種類
 受信メールサーバーがPOP3サーバーかIMAP4サーバーかMicrosoft Graph APIかの3種類が指定できます。
POP3
最も一般的なメール受信用のサーバーです。メールサーバーからメールをダウンロードするだけのシンプルな動作が基本になります。
IMAP4
IMAP4は、POP3よりも後に出てきた新しい仕組みで、サーバー上にフォルダを作成してサーバー上でメールを振り分けたりといったことが出来ます。
Microsoft Graph API
Microsoft社の提供しているメールサービスに対して、Microsoft社の提供する「Graph API」を使ってメールをダウンロードします。送信も、SMTPではなくてGraph APIを使います。認証方式も、Microsoftの提供するOAuth認証(マイクロソフトの用語では「先進認証と言う」)を使います。
POP3やIMAP4に比べて多少制限が発生します。詳しくはMicrosoft Graph APIアカウントでの制限についてを参照ください。
メールサービスに対してPOP3やIMAP4でのアクセスが禁止されてる場合に、こちらの方式にてアクセスが可能です。ただし、管理者が存在してる場合はその管理者が秀丸メールでのアクセスを許可する必要はあります。

Graph APIの仕組み的には実はIMAP4的にサーバー上にフォルダを作成したり振り分けたりといったことが実現出来ますが、現在の秀丸メールではPOP3的な動作のみ、つまり、ダウンロードすることのみに対応しています。ダウンロード対象のフォルダは、別途「アカウント毎の設定・メールサーバー・POP3/IMAP4・IMAP4関連」のページにて指定できます。

2022年5月31日追記
Microsoft Graph APIでアクセスできるメールアカウントは以前は「Exchange Online」または「Office 365」または「Microsoft 365」などの有料サービスに限定されていましたが、現在は無料メールサービスであるOutlook.com(別名称 = Hotmail, Live.com)についてもGraph APIでアクセスできます。無料アカウントにアクセスするには秀丸メールのVersion 7.12以上が必要になります。
マイクロソフト社の販売しているサーバー製品の「Exchange Server」で構築されたメールアカウント(オンプレミスのサーバー上のメールアカウント)に対してGraph APIでアクセスすることは出来ません。


POP3風にメールをダウンロードするだけのモード
 IMAP4サーバーを対象として、プロトコルとしてはIMAP4を使うけども、あたかもPOP3であるかのごとく動作させるモードを指定します。
 IMAP4プロトコルというのは、本来、メールはサーバー上にのみ存在し、メールクライアント(秀丸メール)はサーバー上のメールをのぞき見する用のソフト、というような位置づけになるものです。しかし、この「POP3風」にした場合には、そういう概念は一切無視して、とにかくPOP3的に「メールはサーバーからダウンロードして、あとはクライアントまかせ」的な動作をします。
 このモードを選ぶ場合、例えば他のメールクライアントやWebブラウザを使ったメールアクセスを併用するとしたら、「アカウント毎の設定・メールサーバー」の「受信したメールをサーバー上に残す」をONにしないと大変都合が悪いことになります。それについては最大限の注意をお願いします。

IMAP4サーバーのフォルダ名による振り分け方法:
 IMAP4サーバーからダウンロードしたメールには、秀丸メールの方で独自に「X-TuruKame-IMAP-Folder:」のヘッダが埋め込まれ、このヘッダの中に、IMAP4サーバー上でのフォルダ名が入ります。フォルダ名は、IMAP4サーバーが返すUTF-7エンコードされた文字列そのままの形式になります。
 このヘッダを使ってメールを振り分ければ、IMAP4サーバー上のフォルダと同じような状況を秀丸メール上でも再現できます。

 X-TuruKame-IMAP-Folder:ヘッダを使った振り分けを作成するには、「設定 - 簡単振り分け設定」を使うが便利です。これを使うとUTF-7エンコードされたフォルダ名をデコードして同じ名前のフォルダを自動で作成できます。


IMAP4的にフォルダやメールを同期させるモード
 このモードを選択すると、可能な限りIMAP4クライアントに近い動作をします。具体的には以下のような処理を行います。
  • 受信の動作として、POP3風の場合には、前回受信時と今回受信時を比較して、前回受信時にサーバー上に存在してなかったメールを受信するのであるけども、こちらのIMAP4的モードを選択した場合、前回と今回の差分という概念は無くなり、とにかく秀丸メール上に存在してないメールをすべて受信する動作をします。
  • 秀丸メール上でメールを削除したりゴミ箱に入れたりすると、そのメールは次回受信時にサーバー上から削除されます。「アカウント毎の設定・メールサーバー」の「削除されたメールは次回受信時にサーバー上からも削除する」に相当する処理が必ずONになります。
  • メールを移動/コピーした操作についても次回受信時にサーバー上に反映されます。振り分けでメールが移動した場合も、その移動がサーバー上に反映されます。
  • 受信時に、サーバー上のフォルダ一覧を秀丸メール上にも再現します。
  • 他のフォルダから移動/コピーされたメールについては、そのメールが受信系のメールであれば、そのメールがIMAP4サーバーにアップロードされる動作となります。(Version 6.46β9より)
  • 他のアカウントへ移動したメールについては、そのメールはIMAP4サーバー上からも削除されます。(Version 6.46β9より)
  • 受信時の自動振り分けでメールが別アカウントにバイパスされる場合、例えばIMAPアカウントから他のアカウントへメールを移動する振り分けアクションがあると、その移動したメールはサーバー上から削除され、逆にIMAPアカウントへ別アカウントからメールが移動してきた場合は、そのメールがサーバーにアップロードされます。(Version 6.46β9より)


重複メールは受信しない
 このオプションをONにすると、受信するメールのMessage-IdとDate:ヘッダを見て、同じMessage-Id/Date:のメールがすでに存在してる場合はそのメールは受信しないで破棄するようになります。
 IMAP4サーバーがメールに割り振る識別子(UID)が、何らかの理由で変化することがあり、そうすると、同じメールを何回も受信してしまいます。そういうことがある場合はここのオプションをONにするのがお勧めです。

 ここのオプションをONした結果受信されなかったメールがある場合、受信後のステータスバーに「n通のメールが重複してました」のような表示がなされます。


メールの移動/コピーもサーバー上に反映させる
 ここのオプションをONにすると、メールを他のフォルダに移動/コピーした時に、その移動/コピーを、次回受信時にサーバー側にも反映させます。IMAP4の場合は基本的にここはONで使ってください。
 メールの移動/コピーがサーバー側にも反映されるためには、移動/コピー元と移動/コピー先の両方のフォルダが同期対象になってる必要があります。


ゴミ箱用のフォルダ指定
 Deleteキーでメールをゴミ箱へ移動する時、普通だとアカウント直下にある「ゴミ箱」のフォルダにメールを移動する動作になります。ですが、ここのオプションをONにして、特定のフォルダをゴミ箱用として指定すると、Deleteキーでメールを移動する先の対象が、ここで指定したフォルダになります。
 ゴミ箱フォルダ自体を同期する動作とはちょっと違うので、その点ご注意ください。


草稿フォルダの同期
 秀丸メールの草稿フォルダとIMAP4サーバー上の特定のフォルダを同期させます。普通はIMAP4サーバーの"Draft"って名前のフォルダと同期させるよう指定します。
 ここのオプションがONの場合、以下の動作がなされます。(同期対象のフォルダを仮に"Draft"だとして書きます)
  • 草稿フォルダに何かメールを保存すると、そのメールがDraftフォルダにも保存され、受信のタイミングでそのメールがIMAP4サーバーにもアップロードされます。
  • 草稿フォルダのメールを更新(上書き保存)すると、Draftフォルダ上の同じメールについても受信のタイミングで同期されます。
  • 草稿フォルダのメールをどこか別のフォルダに移動したり削除したりすると、Draftフォルダ上の同じメールも削除されます。
  • Draftフォルダに何か新しいメールが届くと、それと同じ内容のメールが草稿フォルダにも生成されます。

 草稿フォルダとDraftフォルダの同期には、メールの中のMessage-Id:ヘッダを使います。なので、Message-Idが重なったメールが草稿フォルダやDraftフォルダにあると、同期が狂う可能性があります。その辺ご了承ください。

補足説明:
 ここのオプションをONしてOKすると、もしも草稿フォルダに何かメールがあると、そのメールをIMAP4サーバーにアップロードするかどうかの問い合わせメッセージが出てきます。
 IMAP4サーバーのフォルダ一覧がまだ取得してない状態でここのオプションをONにしようとすると、IMAP4サーバーのフォルダ一覧を取得するかどうかの問い合わせメッセージが出てきます。「はい」を押せばフォルダ一覧が取得されますが、うまくいかない場合は、一度ここのオプションOFFの状態でOKして普通に受信を実行し、それからもう一度アカウント毎設定を呼び出してオプションを操作してください。

gmailの場合の下書きフォルダについて:
 gmailの場合、「Draft」って名前のフォルダが見えるのですが、それとは別に、Webブラウザで見た時に「下書き」ってフォルダがあって、その下書きフォルダが実際の草稿フォルダ相当として動作しているようです。で、この「下書き」フォルダは、初期の設定のままだとIMAP4クライアントからは見えません。
 IMAP4クライアントからこの下書きフォルダを見えるようにするには、Webブラウザでgmailにログインし、設定の「ラベル」ページにて、下書きフォルダの右側にある「IMAPで表示」オプションをONにする必要があります。そのように指定した上で、秀丸メールからは
[Gmail]/下書き
のフォルダを草稿フォルダと同期する指定をすればいいようです。


未読/既読状態の同期
 ここのオプションをONにすると、メールの未読/既読の状態についても同期するようになります。受信時にメールサーバー上のメールが未読か既読か調べてそれを秀丸メールのメールデータ上に反映する動作をするのと、秀丸メール上で未読/既読切り替えした時に、その状態がサーバー上にも反映されます。

ここのオプションをONにすると、受信時に未読/既読一覧をサーバーから取得するため、余計に時間がかかるようになります。


マークの同期
 ここのオプションをONにすると、マークの状態についても同期するようになります。秀丸メール上では「マーク」という名称になってますが、メールサービスによって「フラグ」や「スター」などとも呼ばれていて、Webブラウザで見た時にメールに星マークが付く場合が多いです。

ここのオプションをONにすると、受信時にマーク一覧をサーバーから取得するため、余計に時間がかかるようになります。


即座に同期
 このオプションをONにすると、秀丸メール上でメールを削除したり移動したりしてIMAP4サーバーに同期させないといけなくなった時に、次回受信時にじゃなくて、即座に同期だけ実行します。
 Version 6.52より、ここのオプションをONにすることでIMAP4サーバーと秀丸メールを接続しっぱなしにして、次回の同期/受信時にログインの手続きを省略して動作するようにしました。


フォルダの削除はしない
 ここのオプションをONにすると、「IMAP4サーバー上には存在しないけども秀丸メール上には存在してるフォルダ」があった時に、それを削除せずに放置します。
 オプションがOFFの場合、そういうフォルダがあると、秀丸メールはそのフォルダを秀丸メール上から削除しようとします。

 IMAP4クライアントとして秀丸メールを使いつつも、同期させずに秀丸メール上にのみ置いておきたいメールがある場合、ここのオプションをONにした上で、何かフォルダを作ってそこにメールをコピーしておけばいいです。


同期予定の確認
 このボタンを押すと、今現在このアカウントでの、メールサーバー上に同期しようとしてるアクション(メールの削除/移動/コピー/アップロード)の一覧が参照できます。さらに、そのダイアログボックス上から同期をすべて消去することも出来ます。

参照:同期予定の確認ダイアログボックス