メールのヘッダについて(Ver7.33対応版)
 秀丸メールでは、メールのヘッダ部分を直接メールエディタで編集することができます。このため、インターネット・メールにおけるヘッダの構造を知っておかないと、うまくメールが編集できません。

メールの基本構造
 インターネットでの電子メール(以下、単にメールと呼ぶ)は、ヘッダ部分と本文部分の2つから成り立っています。ヘッダ部分にはメールの件名、差出人、宛先などの情報が入っていて、本文部分にはメール本文が入っています。 添付ファイルが付いている場合やHTMLメールの場合には、本文部分がさらにいくつもの部分(パート)に分かれていますが、秀丸メールが受信解析した後のメール(および送信用のメール)はあくまで「ヘッダ部分+本文部分」の構造になっています。
 ヘッダ部分と本文部分は、空行(改行のみで、中身のない行)で区切られています。


ヘッダの構造
 ヘッダ部分の1つ1つのヘッダは、「ヘッダ名」 + 「:」(コロンという文字) + 「内容」という形式になっています。例えば件名を表すヘッダは、「Subject」というヘッダ名の後に「:」があり、次に件名そのものが入っています。
 ヘッダ名と「:」の間には空白やタブ文字を入れていてはいけません。しかし、「:」と内容部分の間には、空白またはタブ文字が入っていてもかまいません。
 同じヘッダ項目が複数入っている場合もあります。例えば宛先を表す「To:」のヘッダが複数ある場合には、メールの宛先が複数あることを表しています。

 ヘッダの「ヘッダ名」部分に日本語が入ることはありません。ヘッダの内容部分には日本語が入ることがあります。ただし、インターネット上にメールが流れる時には、日本語は特別な方法で英数字に変換されてやりとりされます。受信ログや送信ログを見ると、 変換された文字を見ることができます。
 ヘッダの「ヘッダ名」部分には、大文字/小文字の区別がありません。例えば、「subject:」や「SUBJECT:」と書かれてあっても、「Subject:」と同じヘッダとして扱われます。


Subject:ヘッダ
 「Subject:」ヘッダは、メールの件名を表しています。「Subject:」ヘッダは普通1つのメールに1つだけ存在しています。


To:ヘッダ
 「To:」ヘッダは、メールの宛先を表しています。メールの宛先が複数ある場合には、「To:」ヘッダが複数あったり、「To:」ヘッダの内容部分にコンマ区切りで複数のメールアドレスが指定されていたりします。
 なお、「To:」ヘッダの内容には、「メールアドレス」だけが指定されている場合と、「メールアドレス+名前」が指定されている場合があります。「メールアドレス+名前」の場合は、普通、
名前 <メールアドレス>
 または、
メールアドレス (名前)
 のような形式になっています。前者の場合、名前の所がダブルクォーテーションで囲まれて、
"名前" <メールアドレス>
 のようになっていることもあります。
 メールが実際に届くかどうかは、メールアドレスの部分が正しく指定されているかどうかによります。名前の部分の記述に関しては、メールの配信と関係ありません。


Cc:ヘッダ
 「Cc:」ヘッダは「To:」と同様にメールの宛先を指定します。一般に、「Cc:」ヘッダには「誰々さんにこういうメールを送りました」という通知をしたい人を指定することが多いです(誰々さん自体は「To:」ヘッダに指定しています)。
 「Cc:」ヘッダも「To:」と同様に複数の宛先を指定することができます。その場合には、メールアドレスをコンマ区切りで複数指定したり、「Cc:」ヘッダ自体を複数入れたりします。
※ 「Cc」は、「カーボンコピー」という言葉から来ています。


Bcc:ヘッダ
 「Bcc:」ヘッダも「To:」や「Cc:」と同様にメールの宛先を指定します。ただし、「Bcc:」ヘッダ自体は差出人側だけに表示され、宛先には表示されません。
 大量の人(例えば1000人の相手)にメールを送りたい場合には「Bcc:」を使った方が便利です。「To:」や「Cc:」に宛先を指定してしまうと、送られた人全員に、送られた人全員のメールアドレス(つまり、1000人分!)が表示されてしまうからです。
 また、「To:」や「Cc:」を使うと、「あ、他にもこんな人にメールを送っているんだな」というのがみんなに分かってしまって困ることがあります。そういった場合にも「Bcc:」を使えば、相手に知られずにすみます。
 「Bcc:」ヘッダは送信用のメールにしか存在しません。受信したメールの中に「Bcc:」が入っていることはありません。
※ 「Bcc」は、「ブラインドカーボンコピー」という言葉から来ています。


From:ヘッダ
 「From:」ヘッダは、メールの差出人を表しています。差出人は一般的に、
名前 <メールアドレス>
 か、または
メールアドレス (名前)
 という形式で指定します。または、単にメールアドレスだけのこともあります。

 送られてきたメールに返信する場合、一般的には「From:」ヘッダの中のメールアドレス部分に対してメールを送る形になります。ただし、「Reply-To:」ヘッダが存在する場合は、そちらが優先されます。
 「From:」ヘッダ中のメールアドレスは、差出人側が任意で設定できる物で、必ずしも正しいメールアドレスが入っているとは限りません。つまり、返信メールを送ってもうまく届かない事態が発生するということです。いわゆるスパムメール(迷惑メール)の場合は、 この「From:」部分がわざと返信できないように設定されていることがあります。


Reply-To:ヘッダ
 「Reply-To:」ヘッダは、「このメールに対する返信はこちら宛へ」という意味で使われます。メーリングリストから配信されてくるメールの場合には、この「Reply-To:」ヘッダが必ず入っています。この場合、 「From:」部分にはメーリングリストへ投稿した人のアドレス、「Reply-To:」部分にはメーリングリストの投稿用のアドレスが入っています。
 また、誰かから送られてきたメールを他の人に転送する時、その転送したメールに対する返信を直接転送元に送ってもらいたい場合などに、「Reply-To:」部分に転送元のアドレスを入れておくという使い方があります。


Date:ヘッダ
 「Date:」ヘッダは、メールが作成された日時を表しています。「Date:」ヘッダの中身はRFCという規約によって形式が決められています。例えば1月は「Jan」と表現することになっています。
 送信用のメールの場合、「Date:」ヘッダは秀丸メール側が自動で作成します。ユーザーが自分で「Date:」ヘッダを書く必要はありません。あえて「Date:」ヘッダを入れたとしても秀丸メール側が置き換えてしまいます。
 「Date:」ヘッダ中の日時は、そのメールを作成したパソコンの内部時計を使って作成されています。差出人のパソコンの内部時計が狂っていると、「Date:」の値もおかしくなってしまいます。例えばメールを「Date:」の順番でソートしていると、 最近受信したばかりのメールが古いメールにまぎれてしまうことがあります。
 「Date:」ヘッダ中の日時は、あくまで「メールを作成した時刻」です。実際に送受信した時刻とは異なります。


Organization:ヘッダ
 「Organization:」ヘッダは、差出人の所属を表しています。例えば所属している会社名や、部署名を入れます。


Message-Id:ヘッダ
 「Message-Id:」ヘッダは、メール1つ1つに対して固有のIDを表す文字列を表しています。送信用のメールの場合、このヘッダは秀丸メール側が自動で作成します。
 「Message-Id:」ヘッダは、「References:」または「In-Reply-To:」と組み合わせて「スレッド表示」を実現するのに使います。


References: / In-Reply-To:ヘッダ
 「References:」と「In-Reply-To:」ヘッダは、「このメールは、これこれのメールに対する返信メールです」ということを表すのに使われます。この2つのヘッダに入っているのは、返信元メールのMessage-Idです。
 「References:」は、例えば「返信メールに、さらに返信、さらに返信…」とつなげていった場合に、大元のメールからのMessage-Idをすべて含んでいることが多いです(ただし、秀丸メールでは直前の物1つだけしか含んでいません)。
 一方、「In-Reply-To:」は、直前の返信元メールのMessage-Idだけを含んでいます。
 この2つのヘッダはメールソフトが自動的に生成するもので、ユーザーが自分で変更するものではありません。また、メールソフトによっては、これらのヘッダをうまく生成しない物もあります。そういう場合は「スレッド表示」がうまくつながりません。


Received: ヘッダ
 「Received:」ヘッダは、メールが自分の所まで配信された経路を表す物で、普通、受信したメールに入っています。
 普通は見る必要がありませんが、例えば迷惑メールがどこから送られてきたのかを追跡したりするのに使う場合があります(「From:」ヘッダの中身はあまり信用できないので)。


X-ML-Name: ヘッダ
 メーリングリストから配信されてくるメールに大抵入っているヘッダで、メーリングリストの名前が入っています。このヘッダを使うと、メーリングリスト用のメールを専用のフォルダに正確に振り分けることができます。


X-Priority: ヘッダ
 「X-Priority:」ヘッダは、メールの優先度を指定するのに使われます。「1」〜「5」までの値があり、「1」は「最重要」、「3」が通常のレベルです。
 他に、「X-MSMail-Priority:」や「Priority:」など、優先度に関しては、メーラーによって異なるヘッダを付けてくる場合がありますが、普通は「X-Priority:」だけで大丈夫です。
 秀丸メールでは、「X-Priority:1」で届いたメールをびっくりマーク付きのアイコンで表示します。
 送信する時に優先度を上げたい場合には、「X-Priority:」ヘッダを直接書くのではなく、メールエディタのメニューにある「設定・優先度=高」のチェックをONにしてください。


X-Mailer: ヘッダ
 「X-Mailer:」ヘッダは、メールの送信に使ったメールソフトの種類を表しています。秀丸メールで作成したメールには、「HidemaruMail/Windows Vxxxx」のような文字列が自動的に付加されます。 (旧「鶴亀メール」で作成されたメールでは、「TuruKame/Windows Vxxxx」のような文字列となります。)


Content-Type: ヘッダ
 「Content-Type:」ヘッダは、メールの形式や文字コードの種類を表す物です。普通のメールでは「text/plain; charset=iso-2022-jp」のように書いてあります。
 添付ファイル付きのメールの場合には、「multipart/mime」となっていたり、HTMLメールの場合には「multipart/alternative」となっていたりします。また、「charset=」の所には「iso-2022-jp」の他、「x-euc-jp」や、「shift_jis」などが表示される場合があります。


Resent-To:、Resent-From、その他Resent-XXXX系ヘッダ
 秀丸メールの「そのまま転送」コマンドで転送するメールに使われるヘッダです。
 「To:」や「From:」ヘッダには元のメールのヘッダをそのまま入れておき、「Resent-To:」によって新しい宛先を指定します。
 一般的に、「Resent-To:」、または「Resent-Cc:」、「Resent-Bcc:」で宛先を指定した場合は、「Resent-From:」ヘッダも入れる必要があります。


秀丸メールの独自ヘッダ
X-Attach: 添付ファイルのファイル名を覚えておくために、秀丸メール内部で使われます。
X-Html: HTMLメールのHTMLメール部分を覚えておくために、秀丸メール内部で使われます。
X-Account: アカウントをまたがってメールを移動した時に、移動元アカウントを覚えておく時に付加されます。受信ログを検索したりする時に秀丸メールが利用します。
X-TuruKame-Error: メールの解析で何らかのエラーが見つかったときに、秀丸メールがメールに付加します。
X-TuruKame-UIDL:  UIDL文字列を保存しておくために使われます。「アカウント毎の設定・メールサーバー・トラブル対策」にて「UIDL文字列をX-TuruKame-UIDL:ヘッダを使って保存する」をONにした場合に有効です。
X-Memo: メールに付けたメモを保存しておくために使われます。送信用のメールにこのヘッダが入っていても、このヘッダ自体は送信されません。
X-DelAttach:  添付ファイルを削除した時に、秀丸メールがメールに付加します。添付ファイルを削除しようとしたときの確認メッセージで、「メールを改変し、添付ファイルのアイコンを出なくする」を選ぶと、「X-Attach:」ヘッダが「X-DelAttach:」に書き換えられます。
X-TuruKame-Filter:  「全般的な設定・迷惑メール対策」で迷惑メールフィルターを使う設定にした場合にメールに付加されるヘッダです。このヘッダには、迷惑メールフィルターを通った結果(例えば迷惑メールならspam等)が入ります。
X-TuruKame-Notification:  開封通知要求をするメールかどうかの情報を保持する用のヘッダです。
X-TuruKame-KeitaiSend:  携帯電話に送信する用のメールかどうかの情報を保持する用のヘッダです。
X-TuruKame-PartialSend:  このメールについての分割送信の指定に使うヘッダです。
X-TuruKame-BccNoAttach:  Bcc宛先(またはCc宛先も含めて)に添付ファイルを送らない指定に使うヘッダです。
X-TuruKame-Encode:  メール本文をbase64エンコードして送る用の指定に使うヘッダです。
X-TuruKame-CharSet:  メール用ファイルに保存されているデータ形式がutf-8文字コードになっているかどうかを保持する用の内部ヘッダです。このヘッダ自体がメールの文字コードを表す訳ではありません。
X-TuruKame-PartialId:  分割されたメールを結合する時に秀丸メール内部の情報を保持するようのヘッダです。
X-TuruKame-SenderCountry:  メールの発信元の国識別を表します。さらには設定によって発信元の組織名を表示します。「全般的な設定・上級者向け・デコード」の「メールの発信元をX-TuruKame-SenderCountry:ヘッダに記録する」をONにすると生成されます。
X-TuruKame-SenderDAuth:  送信者ドメイン認証の結果を表します。「PASS」、「FAIL」、「NONE」の3種類の結果の後に、送信者ドメイン認証の種類に応じた内容を括弧で囲んで表します。こちらも「全般的な設定・上級者向け・デコード」の「メールの発信元をX-TuruKame-SenderCountry:ヘッダに記録する」をONにすると生成されます。(Version 7.22から)

 その他、「X-TuruKame-XXXX」系のヘッダが秀丸メールによって独自に付加されることがあります。


その他のヘッダ
 その他のヘッダはメールの内部的な情報や、補足的な説明のために付加されている物で、重要な物はほとんどありません。

注:秀丸メールは旧名称が「鶴亀メール」だったために、一部の独自ヘッダが「X-TuruKame-XXXX」のようになっており、このヘッダ名は互換性維持のため変更されていません。


 全般的な設定・メール内容表示・ヘッダ